keyのシナリオライター麻枝准初原作アニメ『Angel Beats!』。神の使い《天使》に抗う少年少女の物語–。
2016/11/03
シナリオライターの麻枝准が初めてアニメの脚本を担当したのが『Angel Beats!』。
数々の泣きゲーを手がけてきた麻枝准が脚本を担当しただけあって、泣き要素がふんだんにつめ込まれた生粋の感動アニメに仕上がっています。
2015年にはPCゲーム化し、その第二弾も作成販売予定です。
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あらすじ
音無結弦は気づくとどこかに仰向けに寝転がっていた。
そこはどこかの学校のようであり、そばにいたのはスナイパーライフルを構えた少女中村ゆり。
ここは死んだあとの世界だと言う彼女が狙っているのは、校庭にいる小柄な少女。
小柄な少女の正体は天使であり、抗うべき『神』の手先だと言った。
ゆりがまともじゃないと思った音無は、小柄な少女立華かなでの方にコンタクトを取ったが、彼女もゆりと同じことを言う。
それならその証明を求めると、彼は彼女に刃物で心臓を一突きされてしまう。
そして目覚めたのは保健室。
彼は血まみれでありながら傷一つない自分の胸を見て、ここが死んだあとの世界であることを信じるしかなかった。
死後の世界
現実世界で何かしらの形で死んだ若者たちが来る世界で、やってくる人は満足した学生生活を送れないまま死んだ少年少女だという。
世界の中心は全生徒2000人の超大型学校の全寮制の高校であり、この世界に来たばかりの頃はこの学校の制服を身にまとっている。
全ての生徒が死んでそこに来たというわけではなく、NPC(ノンプレイヤーキャラクター)と呼ばれるその世界の住人も存在している(大多数がそうだと思われる)。
死後の世界ではそのNPCが友人になったり良きライバルになったりして、現実世界で味わうことのできなかった青春を謳歌することもできます。
死んだ世界では何をやっても死ぬことはなく、心臓を貫かれても、何かに押しつぶされても、断食を続けても死ぬことはありません。
だから体を張った(命を張った)行動も可能であり、普通なら悲劇となるようなことも喜劇として描かれています。
SSS(死んだ世界戦線)
ゆりっぺこと中村ゆりらが組織した自分らに過酷な運命を科した『神』に反抗するための組織。
『神』の使いとされる『天使』である(と思われている)立華かなでを敵対視しており、天使を倒すことが『神』への糸口だと考えられてる。
自前の制服を作成しており、SSSメンバーはだいたいこの制服を着ている。
SSSの名前はの由来は公式には死んだ世界戦線となっているが、『死んでたまるか戦線』だとか『生きた心地がしない戦線』だとか『死ぬのはお前だ戦線』などに改名することがある(どれもSSSにはならない……)。
校長室が彼らの溜まり場であり、そこでオペレーションなるものの作戦会議などをします。
オペレーション
『天使』との戦いなどのために練られる作戦を彼らはオペレーションと呼んでいます。
オペレーションには様々ありそのいくつかを紹介したいと思います。
オペレーション・トルネード(食券巻き上げ作戦)
NPC生徒から食券を巻き上げるというカツアゲのような作戦。
実際には校内で熱狂的な人気を誇るガールズバンドGirls Dead Monsterのライブを行い、その演出に見せかけた巨大扇風機の風で食券を文字通り巻き上げる作戦だった。
ギルド降下作戦
武器の弾薬が尽きそうになるという報告を受け、SSSが地下に構える対天使用の武器を製造する工場(通称ギルド)に調達に行くという作戦。
しかし対天使用に作ったはずのトラップが彼らの道を阻み……。
オペレーション・モンスターストリーム
食堂の食券不足のため川釣りに行くという作戦。
その川には『主』と呼ばれるものが存在しており、SSSメンバーはそれを引き当てることに成功するが予想以上に大物であり、それを釣り上げた際にはその巨大さから校内全生徒に振る舞うことになった。
ちなみにこの作戦では、フィッシュ斉藤という麻枝作品ではお馴染みの『斎藤』(CV.緑上光)も登場している。
成仏
死んだ世界で青春を謳歌し、満足してしまうと『成仏』してしまいます。
成仏するとその世界からは消えてしまい、次の輪廻(生まれ変わり)に向かい、次の人生を始めることになるのです。
本編三話で岩沢まさみが消えたことにより周知された成仏という概念をSSSのメンバーは悪と認識し、抗っていきます。
SSS主要メンバー
音無結弦
死んだ世界の新参者でありながら物語の主人公。
なぜか初期からSSS主要メンバーに加入しており、主人公補正も大概にしろと言いたいところだがなにか理由はあるはず、うん。
自分が死んだときのこと、さらには自分の名前以外なにも憶えていないという記憶喪失状態で死んだ世界にやってきた。
物語後半にかけて自分のことや死因などを思い出していく。
天使である奏と仲良くなり特別な感情を抱くようになるが、物語の最後で彼女は自分と関わりのあった少女だったことを知る。
中村ゆり
メンバーみんなから愛され『ゆりっぺ』という愛称で呼ばれるSSS創設メンバーの一人で、組織の中心的存在。
他のメンバーにも言えることだが、学園には数十年在籍しており実年齢だともう還暦を迎えてもいい頃だと思われる。
同key作品のアニメ『リトルバスターズ!』の登場人物朱鷺戸沙耶に性格が似ており、声が同じであることからそれがモデルであると思われる。
物語のメインヒロインみたいな立ち位置だが、それは天使である立華かなでに取られており誰ともくっ付くことなく最終回を迎えている。
日向秀樹
SSS創設メンバーの一人であり組織のムードメーカー的存在。
音無とよくつるむことがあり、ホモ疑惑が浮上する程度には一緒にいる。
ユイによくちょっかいをかけられることがあり、その中でユイに気持ちが傾いていった。
ユイ
後に劇中バンドGirls Dead Monsterのボーカルとなる少女。
生前は不慮の事故の障害で手足が動かない寝たきりの生活を余儀なくされていた。
死んだ世界に来たときからは両手両足が動くようになっており、生前にできなかったことを精一杯楽しんでいる様子。
日向によく懐いているようであり、よく突っかかっている。
岩沢まさみ
Girls Dead Monsterの初代ボーカルでありフロントマン。
本編三話で懇親のバラード曲『my song』を歌ったあと、人生に満足してしまい成仏してしまった。
DVD/Blu-rayのコメンタリーでは似非関西弁のナニワ人間を演じることを強いられており、普段のクールキャラのキャラ崩壊必至である。
直井文人
生徒会の副会長。
死後の世界にやってきた魂を持った『人間』であるが、NPCと同じ制服を身にまとっておりSSSの行動を
あるときからSSSメンバーとなり主要メンバーの一人となった。
音無のことを敬愛しているようで日向と取り合いになることがある。
チャー
SSS創設初期からいたメンバーでギルドのリーダー。
高校生の年齢であるが髭を蓄えており、歳不相応な見た目をしている。
ギルドでは高い人気を誇っており、ギルドメンバーの信頼も厚い。
彼の過去は謎に包まれており、SSS主要メンバーでありながらその出演頻度はかなり少なかった。
松下護騨
柔道が得意であり、『松下五段』の異名で知られている。
普段はがっちり体型姿であるが、劇中の山籠りの結果激やせしスリムな体型で再登場した。
2015年にゲーム化した際にはなぜか他の主人公らを差し置いてパッケージに堂々と描かれていたため、主要キャラクターとして紹介しておきます。
その他にも
野田
椎名
遊佐
藤巻
TK
大山
竹山
など個性豊か過ぎるキャラクターが登場します。
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Girls Dead Monster
Angel Beats!内で屈指の人気を誇る劇中バンド『Girls Dead Monster(通称 ガルデモ)』の楽曲はこの作品を手がけた麻枝准氏が作詞作曲しています。
Angel Beats!人気の秘訣はこのバンドのおかげもあると言えるでしょう。
ガルデモは四人編成のガールズバンドであり、ギターボーカルでありバンドの中心だった岩沢まさみが世界から『消えて』からは二代目ボーカルとしてユイが加入しています。
ガルデモメンバーを紹介してみましょう。
岩沢まさみ(初代フロントマン)
声優は沢城みゆき。
歌はmarinaが担当。
ギターボーカルを担当しており、バンドの中心。
ひさ子の出逢いからガルデモ結成に至った彼女の生前は、劣悪な家庭環境から音楽に逃避没頭していき、ゴミ捨て場で出会ったアコースティックギターで音楽活動を始めることになった。
両親の喧嘩に巻き込まれ頭を打ち失語症を患ってからは、大好きな歌も歌えないようになり消えるようにこの世を去り死んだ世界に迷い込んだ。
死んだ世界に来てからは人気バンドを組むことになり夢を叶えたのでした。
ユイ(二代目フロントマン)
声優は喜多村英梨。
歌はLISAが担当。
岩沢が成仏したあとにギターボーカルを担当することになった少女。
元からガルデモのファンであり、ガルデモの曲をカバーしたストリートライブを独自で行いファンも獲得していた模様。
ひさ子
ガルデモのサブリーダーであり、リードギター担当。
サバサバ系の姉御肌であり、岩沢とは息が合いガルデモ結成に至った。
ユイに『殺人的なリフさばき』と評される高い演奏技術を持つが、その言い方が気に入らないらしい。
関根しおり
ベース担当の元気な問題児。
若干ユイとキャラ被りしているようにも見えるが本編中はあまり出番がなく、その明るいキャラクターも発揮できていない。
キャラコメンタリーではそのキャラクター性も存分に発揮しており、先輩である岩沢などをイジり倒している。
入江みゆき
小動物キャラなドラム担当。
本編中ではあまり喋ることもないがキャラコメンタリーではかなり面白いキャラを演じている。
ドラムキチという設定らしいが真相は不明。
この作品の魅力
この作品の魅力は何と言っても最後に向かうに連れて大きくなっていく泣き要素ですが、その他にもたくさんあります。
だーまえ節と呼ばれる独特のギャグ展開や登場人物の個性的なキャラクター性にはくすりとさせられるものがあります。
CD/Blu-ray化に際して副音声にキャラクターコメンタリーが収録されており、登場人物が本編を見ながら解説するわけですが話が明後日の方向に飛んでいったりと解説が解説でなくなっています(笑)
ガルデモの曲は聴き応えのあるものが多く、まるでインディーズバンドの楽曲を聴いているかのような新鮮さが垣間見えます。
ガルデモは楽曲をCD化しています。
Vo.岩沢のシングルが二枚。
Vo.ユイのシングルが三枚。
Vo.ユイのアルバムが一枚。
バンドスコア付きのインストゥルメンタルアルバムが一枚。
出ています。
アルバムでは岩沢の楽曲だった『Crow song』『Alchemy』『My song』やAngel Beats!のOPとEDがVo.ユイとして収録されています。
シナリオ、コメンタリー、音楽と様々な楽しむ要素があるAngel Beats!をどうぞお楽しみになってみてください。