俺ガイルは、やっぱ良いラノベだべ!文庫の12巻とアニメの第三期が待たれる青春残念系ストーリー!本物ってなんだろう……?
2017/04/08
文章系タイトルのラノベは数あれど、ここまで内容とのギャップが有る作品は稀です。
文章系ライトノベルで有名なものといえば『僕は友達が少ない』や、ライトノベルとは少し違うと思いますが『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら』などがあり、上記に挙げたような作品は、登場キャラクターや作品のインパクトなどに注力しすぎていて肝心な物語の内容や文章力がおざなりになっていたりします。
しかし『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』は違います。
略称が『俺ガイル』というこの作品はただのラブコメではありません。
タイトルそのままなんですが、まちがっているようなラブコメなのです。
というか全然ラブしません(笑)
コメディはしていますが。
欲しいのは、本物と呼べるものだけ
俺ガイルは、性格的な問題で人間関係が上手くいかない少年少女の物語です。
『ぼっち』の生態を描いた作品とも言えるので、『ぼっちあるある』がふんだんに盛り込まれていたり。
そんな『ぼっち』が選択する人間関係もようをライトな切り口で描き出されていくのです。
比企谷という男の物語
主人公である比企谷八幡は、そこそこの容姿をしていて(自称)、成績もそこそこ良く(主に国語)、性格も優しい(復讐をしないなど)はずなのに全然人に好かれない。
彼はそんなそこそこのスペックを誇っているのにもかかわらず、非常にひねくれた性格しています。
彼の人生は性格がひねくれるのも無理もないくらい悲惨な有り様で、
『青春とは嘘であり、悪である』
という考え方を持つに至りました。
彼の半生は、もともと社交的な性格でなかったために幼いころからロクに友達も作れず、毎日学校が終わったらすぐに帰宅するような寂しいものでした。
比企谷という名前をもじられて『ヒキガエル』と呼ばれたり、女の子の言動で自分のことが好きだと勘違いし、そのことをみんなにからかわれていたりします。
そのことを彼は暗く考えず時に笑い話として話し始めるなど、その精神力には感嘆とするものがありますね。
奉仕部での出逢い
時は流れ本編の始まりで、比企谷は高校生二年生。
彼は自分の人生の方向性を大きく変えるような出逢いを果たします。
高校女教師である平塚静先生に妙に気に入られていた比企谷は、とあるきっかけで『奉仕部』という部活の部室に連れて行かれます。
奉仕部とは、『生徒らの自己改革を促し、悩みを解決するその手助けを行う』という行動原理をもった相談室のような部活で、比企谷は無理矢理そこに入部させられることになります。
そこで彼は、雪ノ下雪乃という少女に出逢うのです。
一人部屋の片隅で本を読む彼女を比企谷は一瞬は見惚れるものの、すぐに平常心を取り戻しました。
これまでの人生で培ってきた『自分にラブコメ的な展開が起こるはずがない』という考えが彼にはあるからです。
雪ノ下雪乃という少女は、容姿端麗・文武両道のスーパー女子高生。
しかし比企谷に負けず劣らずの性格の持ち主で、常に正しくそして強く、比企谷とは違うベクトルにひねくれている女の子なのでした。
比企谷はそんな彼女のことを、自分に似ていると感じました。
そこで彼は決心して友達になろうと伝えましたが(伝えようとしたけど遮られた……)、一瞬で断られています(笑)
部室にあるテーブルの端と端に座った彼と彼女はいくつかの会話をしたところ、どちらもあまり好意的でない雰囲気に。
そんなところに比企谷の人生にとって大きな存在となるもう一人の女の子、由比ヶ浜結衣がドアを開けて入ってきます。
彼女は何やら依頼があるらしく、おどおどと部室に入ってくるのですが……
「なんでヒッキーがここにいんのっ!?」
と比企谷を指さして言いました。
由比ヶ浜は比企谷を知っているらしく、彼が奉仕部にいることに驚いています(ヒッキーなんて勝手にニックネームつけちゃってます)。
比企谷は、ちょっと派手でイマドキの女の子のような彼女のことを『ビッチ』と揶揄しますが、自分は『処女』だとうっかり反論してしまっています(笑)
彼女の最初の依頼は『手作りクッキーのお手伝い』。
彼女は誰かにそれを渡したいらしく、しかし料理が得意でない彼女はその手伝いを依頼しに来たのです。
そして依頼は無事完了し、翌日も由比ヶ浜は奉仕部に顔を出すようになるのでした。
ここまでが奉仕部ができるまでです。
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少年は、『本物の関係』を求める
比企谷八幡。
雪ノ下雪乃。
由比ヶ浜結。
この三人が奉仕部のメンバーで、この物語の中心人物たちです。
その周りで、
などの登場人物が奉仕部メンバーの人間関係を正したり、ひっかき回したり(?)します。
脇役と思われていた人間にも深みがあり、問題を抱えていたりするのです。
そう、この作品の大きな特徴は、複雑すぎる登場人物の心情や彼らの関係性なのです。
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他のライトノベルと違うと私が思った理由もそこです。
初めから比企谷はヒロインであろう雪ノ下に軽蔑されており、二巻三巻と経ても一向に好感度が上がる兆しは見えません。
比企谷自身は他人の言葉の裏を読んでしまい空回り、すれ違ってしまう。
比企谷八幡と雪ノ下雪乃は本当に厄介な性格で、三歩進んで二歩(四歩?)下がるといった感じに関係を築いていきます。
なかなか上手い関係を築けない彼らを見ていてもどかしく感じることもありますが、嘘を嫌い、正しいと思うことを率直に信じている彼らは愛おしく思えるようになってくるでしょう。
物語が進むにつれて、『本物』という言葉がこの作品のテーマになっていきます。
『本物』とはなにか?
『本物の関係』なんて存在するのか?
など、非常に深いものが物語の中心になっていきます。
『本物』を手に入れたくてもがいて苦しんで、近づいたり離れたりしてその人間模様を形成していくのです。
十一巻の最後で彼らの『関係』が大きく動く展開になり、残るは最終十二巻といった感じになるかと思います。
見逃せない物語に仕上がってると思いますのでどうぞ読んでみてください。
現在の刊行は、本編十一巻+番外編三巻で計十四巻です。
ちなみにアニメ化もされており、2015年7月にアニメ第二期目が終わりを迎えています。
二期の最終話は本編十一巻の内容であり、原作は終了したわけではありません。
おそらく本編最終巻(十二巻)が発売されるのと同時に、二期の2クール目(三期?)が放映されることでしょう。
私も楽しみにしています。
なんだか聞くところによると、アニメDVD・Blu-rayに俺ガイルのanotherストーリーの小説がついているらしい……。
それを作成するために時間が取られて12巻遅れているのかな?
このライトノベルは作者である渡航(読みは『わたりわたる』だよっ!!『とこう』じゃないよっ!!)の自伝的な要素を含んでおり、作品の各所に作者の実体験や彼の考え方が散りばめられているそうです。
『わたりん』の愛称で知られる彼は、株式会社マーベラスエンターテイメントの社員であり、アニメ二期が放映されるにあたり、提供スポンサーには自社であるマーベラスの名前が入っていたりします。
この作品はライトノベルと聞いて一歩引いてしまうような人にも強くおすすめできます。
アニメの方では比企谷の独白(雪ノ下の毒吐も?)やいくつかのイベントが省略されてしまっているので、私はどちらかと言えば書籍の方を薦めます(アニメも面白いけどねっ!!)。
一巻だけ読んでもわからないと思いますが、巻が進むにつれその良さが理解できるような構成になっていると思います。
読んで後悔はしないはずです。
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この作品はまちがいなく、本物です。
p.s.
わたりん、12巻早く出してください!!(笑)
追記:
俺ガイルの12巻が2017年4月に発売決定しましたぁああ!!
やったー\(^o^)/